家づくりは、“借りられる額”より“払い続けられる額”を考えたい
八紘 HAKKO / MONEY COLUMN
“もう少し様子を見よう”が、
いちばん高くなる時代かもしれません
賃貸と持ち家。
これからの住まいのお金を、静かに整理する。
家づくりのお金 / 住宅ローン / 賃貸と持ち家
「資材も高いし、金利も上がっている。
もう少し様子を見た方がいいのではないか」
家づくりを考えている方から、最近よく聞く言葉です。
もちろん、焦って決める必要はありません。

ただし、何となく先延ばしにすることが、本当に安心につながるのか。
そこは一度、冷静に整理しておく必要があります。
この記事の結論
家を建てるかどうかは、急いで決めるものではありません。
けれど、「待つことのコスト」も、これからは無視しにくくなっています。
1. 住宅価格は、簡単には戻りにくい
結論:資材や人件費の上昇により、住宅価格は以前の水準へ戻りにくくなっています。
2021年頃のウッドショック以降、木材をはじめとする建築資材の価格は大きく上がりました。
一時的な値上がりのようにも見えましたが、実際にはその後も、建築にかかるコストは高い水準で推移しています。
住宅の価格は、木材だけで決まるわけではありません。
職人さんの人件費、運搬費、設備機器、断熱材、サッシ、コンクリート。
さまざまなものが積み重なって、1棟の金額になります。
つまりどういうことか
「待てば安くなる」と考えるより、
「今の予算で、どこまで整えられるか」を考える方が現実的です。
※国土交通省の建設工事費デフレーターでも、建築工事費は高い水準で推移しています。
2. 金利が少し上がるだけで、総支払額は変わる
結論:住宅ローンは、月々だけでなく35年間の総額で見ることが大切です。
住宅ローンの金利は、わずかな違いでも長期で見ると大きな差になります。
例えば、4,000万円を35年で借りる場合。
金利が0.5%違うだけでも、毎月の返済額や総支払額には差が出ます。
| 金利 | 月々の返済 | 35年間の総額 |
|---|---|---|
| 0.50% | 約104,000円 | 約4,360万円 |
| 1.00% | 約113,000円 | 約4,740万円 |
| 1.50% | 約123,000円 | 約5,140万円 |
※借入4,000万円・35年返済・元利均等・ボーナス払いなしの概算です。実際の返済額は金融機関、商品、審査内容により異なります。
3. 賃貸は悪くない。けれど、残らないお金もある
結論:賃貸には身軽さがあります。ただし、長く払っても資産としては残りません。
賃貸が悪いわけではありません。
転勤がある方。
まだ暮らす場所を決めきれない方。
家族構成が大きく変わる可能性がある方。
そういう場合、賃貸の身軽さは大きなメリットです。
賃貸の良さ
住み替えしやすい
初期費用を抑えやすい
修繕負担が少ない
賃貸の注意点
家賃を払い続ける必要がある
間取りや素材を自由に選びにくい
将来、手元に資産として残らない
持ち家の考え方
土地と建物が残る
暮らし方を整えられる
将来の選択肢を持てる
4. 家賃8万円を35年払うと、約3,360万円になる
結論:月々では小さく見える家賃も、長期で見ると大きなお金になります。
例えば、家賃8万円の賃貸に35年間住み続けた場合。
家賃として支払う金額
約3,360万円
月8万円 × 12ヶ月 × 35年
資産として残るもの
基本的には0円
家賃は住むための費用であり、土地や建物としては残りません。
もちろん、持ち家にも固定資産税や修繕費はかかります。
だからこそ、単純に「買った方が得」と言い切ることはできません。
大切なのは、毎月の支払いだけでなく、将来に何が残るのかまで見て判断することです。

5. 八紘が大切にしているのは「借りられる額」より「払い続けられる額」
結論:家づくりは、借入可能額ではなく、暮らしを圧迫しない予算から考えるべきです。
銀行の審査で「借りられる額」と、実際に「無理なく払える額」は違います。
家を建てた後も、暮らしは続きます。
教育費。
車の買い替え。
旅行や趣味。
老後の備え。
家だけにお金をかけすぎると、本来の暮らしの余白がなくなってしまいます。
八紘の考え方
家づくりは、予算を広げることではなく、
限られた予算の中で、暮らしの質をどう整えるかだと考えています。
6. 高い土地を選ばなくても、設計で暮らしは整えられる
結論:土地の条件が完璧でなくても、設計によって暮らしやすさは大きく変えられます。
家づくりでは、土地選びに大きなお金が動きます。
ただ、条件の良い分譲地だけが正解とは限りません。
変形地。
道路との関係が難しい土地。
隣家との距離が近い土地。
日当たりに工夫が必要な土地。
そうした土地でも、光の入れ方、窓の取り方、外からの視線、動線の整理によって、暮らしの質は変わります。
つまりどういうことか
土地にお金をかけすぎる前に、
その土地でどんな暮らしができるかを設計で見ることが大切です。
7. 「待つ」ことが正解の人もいる
結論:すべての人が、すぐに建てるべきとは限りません。
ここまで読むと、早く家を建てた方がいいように感じるかもしれません。
でも、八紘はそう単純には考えていません。
まだ待った方がいい場合
・転職や収入の変化が近い
・家族構成がまだ大きく変わりそう
・住みたいエリアが決まっていない
・自己資金や生活費の見通しが不安定
・家づくりの目的がまだ整理できていない
反対に、家賃を払い続けながら数年後に同じ予算で建てられるか不安な方は、早めに情報を整理しておく価値があります。
8. 家づくりは、急ぐより先に「整理する」
結論:大切なのは、建てるかどうかを急いで決めることではなく、判断できる状態にすることです。
家づくりは、勢いで進めるものではありません。
いくら借りられるのか。
毎月いくらなら無理がないのか。
土地にいくらかけるべきか。
建物にどこまで求めるのか。
将来、どんな暮らしを残したいのか。
それらを一つずつ整理した先に、その人にとっての正解が見えてきます。
よくある質問
Q. 金利が上がっているなら、家づくりはやめた方がいいですか?
やめた方がいいとは限りません。大切なのは、金利だけで判断しないことです。借入額、返済期間、家計の余裕、土地や建物の予算配分まで含めて考える必要があります。
Q. 賃貸と持ち家は、どちらが得ですか?
単純にどちらが得とは言えません。賃貸には身軽さがあり、持ち家には暮らしを整えられる自由度と資産性があります。比較する時は、月々の支払いだけでなく、将来に何が残るかまで見ることが大切です。
Q. 予算が限られていても、良い家は建てられますか?
建てられる可能性はあります。大切なのは、すべてにお金をかけることではなく、暮らしにとって重要な部分を見極めることです。土地、広さ、動線、素材、収納の優先順位を整理することで、無理のない家づくりに近づきます。
※住宅ローンの返済額は概算です。実際の金利・借入条件・諸費用・税金・維持管理費は、金融機関や計画内容によって異なります。公開前に最新情報をご確認ください。

